コボレ恥之介と 石の下でさざめく記事たち

元・マンガ家志望。小説・映画・漫画の感想や表現技法の勉強、自作品の批評など。僕がアウトプットするためのブログです。

 【読書感想文集】シェイクスピアおすすめ作品、勝手に5選!【ただの僕のお気に入り】

シェイクスピアの代表作を2つ挙げてください。

 

もしそう問われたら、多くの人はまずハムレットと答えるだろう。
では2作目は? と問われると。

面白いことに、人によって意見が分かれるのだ。


そんなわけで。オモシロ作品目白押しのシェイクスピアの中で、僕が最も気に入っている5つの作品を挙げてみようと思う。


あらすじ&好きなところの解説つきです。

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 ■ マクベス ■

 

 ◆あらすじ◆

スコットランドの武将マクベスは、妻であるマクベス夫人に唆されて王を殺害し、王位を奪う。だがその殺人がバレることを恐れるあまり、次々と殺人を重ねていく……。

 

 

 ◆好きなところ◆

勇敢だと思われたマクベスが、ブルブル怯える姿が楽しい。

僕はマクベスのみ、実際に舞台で見たことがあります。そのときは、マクベスが宴の席で亡霊に怯えて椅子から転げ落ちるシーンに爆笑しました。


甘美な共犯関係で結ばれたマクベス夫婦が、屈折した愛を交わすさまも見もの。

去った夫人を想って嘆く、マクベスの長ゼリフは悲しい。

夫婦愛についてはぜひ、ちくま文庫版の訳者あとがきを見てほしい。

筑摩書房 シェイクスピア全集 3 マクベス / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著


残忍な内容にも関わらず、最後は明るく爽やかな気分になる不思議な劇。



 

 


 ■ オセロー ■

 

 ◆あらすじ◆

美しい新妻を愛する将軍オセロー。順風満帆かと思われた彼の人生は、副官に任命されなかったことを不満に思う部下・イアーゴーに恨まれていた。イアーゴーは彼の妻が不倫をしていると言葉巧みに信じこませ、オセローを破滅に追いこんでゆく……。

 

 

 ◆好きなところ◆

歪んだ愛の物語、だーいすき☆

 

イアーゴーとその妻・エミリアさんの仲にそそられます。

 

イアーゴーはオセローを破滅に追いこむために、「お前さんの妻、不倫しとるで!」と吹きこんでいくわけだが。むしろそれだけで攻めていくわけだが。
そのイアーゴーに妻がいるって、すごい気にならない?

 

ところで。

あらすじでにて僕は、「副官に選ばれなかったことを不満に思うイアーゴー」と表現した。だがイアーゴーがオセローに不満を持った理由は、出世以外にももうひとつあって。

それはオセローとエミリアさんがムフフな仲を築いたんじゃないか、という疑いがあったことなんですよ。

 

イアーゴーの、妻への粘着質な愛を感じました。






 ■ じゃじゃ馬ならし


 ◆あらすじ◆

口の悪い暴れん坊のじゃじゃ馬・カタリーナ。だが彼女の上をいくふんぞり返った男・ペトルーキオーが現れ、結婚することになってしまった! 結婚後、ペトルーキオーがカタリーナに施した強引な「調教」により、彼女はついに従順になってしまう――?

 


 ◆好きなところ◆

カタリーナちゅわん! 可愛くて気高い、我が麗しのカタリーナちゃん!

 

彼女が従順になったか否かの妄察で、120カ月は暇を潰せる作品。

 

個人的にはカタリーナちゃんは従順な敗北者にはなどなっていない、と思っている。
その根拠をTwitterで語ったところ、簡単に2万文字を超えしまったので、別のところで語ります。

 

人の頭をバイオリン(みたいなやつ)でぶん殴るくらい凶暴なのに、結婚式で旦那が来なくて泣いちゃうところが本ッッッッ気で可愛い

 

まさかシェイクスピアの作品で、こんなにキャラを推すとは思いませんでした。本当マジで好きですカタリーナちゃん。


おお、カタリーナちゃん。

あなたは強くて賢くて気高くて、使命感が強いヒーローだ。それでいて誰より優しくてか弱くて、夢見る乙女なヒロインだ。

ああ、僕の愛しい薔薇! 愛してるぞー!!!

 

 

 

 

 

 

 ■ 夏の夜の夢 ■

 

 ◆あらすじ◆
妖精たちの喧嘩に巻きこまれた恋人たちは、惚れ薬のせいで仲がぐちゃぐちゃに! 恋人に永遠を誓ったその口で、別の女に真実の愛を告げる始末。さらには妖精界の王妃も、惚れ薬のせいでロバ頭の男とイチャイチャしだして?!

 


 ◆好きなところ◆

惚れ薬のせいで生まれただけの、明らかに嘘な愛を、めちゃくちゃ真剣に語るところ。

 

現代のお笑いコンビで言えば、この話はアンジャッシュ的な勘違い系コントである。

 

『その目を何にたとえよう? 水晶もまだ濁っている、おお、その唇、熟れ切って、お互いに肌を触れあう二粒のさくらんぼう、いかにも人の心を誘うような!』――これも嘘から出た嘘、『あの空に輝く星、光の目、それにも増して美しく夜を照らし飾るこの女人』

――これも偽りの愛の調べ。

 

『僕が君を愛していないなどと言うやつは、きっと目にものを見せてくれる』

――大変だ、それは後で、自分で自分を傷つけなければいけなくなる言葉だ!


数多の言葉を自由自在に操るシェイクスピアだからこそ、この話は面白い。

 

 

 

 

 


 ■ アテネのタイモン ■

 

 ◆あらすじ◆

財産を気前よく友人に分け与えることで有名なタイモンは、そのせいで借金まみれになってしまう。すると友人らは途端に彼を冷たくあしらう。失望したタイモンは森に逃げて引きこもる。だが、それで幸福になれるはずはなく――?

 


 ◆好きなところ◆

僕も人にいい顔ばかりしようとする人間だ。だからタイモン卿は僕の反面教師なのである。愛すべき師匠なのである。


純粋で、お馬鹿で、人が好き。

要するに彼は、愛くるしい弱さを持った主人公なのだ。

どこまでも彼に従おうとした執事・フレイヴィアスや、彼と対等に話そうとした皮肉屋アペマンタスなど、タイマン卿の周りには、実は優しい人もちゃんといる。
選択肢を間違えなければ、彼は穏やかに暮らせたに違いない。

そしてまたこの話、恋愛的な要素がまったく出ないという特徴がある。

それゆえの、からっとした爽快感も心地よい。

 

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シェイクスピアの代表作、ハムレットともうひとつは何なのだ、問題。

ファン同士で意見が割れるだけならまだ分かるが、例えば世界史の教科書やシェイクスピア作品の解説本など、出版社から公的に出ている書物においてもバラバラだ。
ヴェニスの商人』であったり、『夏の夜の夢』であったり。

マクベス』が挙げられていたときはびっくりした。マクベスはたしか、どこかで「四大悲劇の中で最もマイナーな作品」と称されていたような……?

 

 

要するに。

面白い作品がいっぱいあるぞ、ということかな。

 

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■ 作品の詳細情報(リンク先は出版社公式サイト) ■

 

シェイクスピア全集 3 マクベス(訳:松岡和子さん、ちくま文庫)→【筑摩書房 シェイクスピア全集 3 マクベス / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著

 

『新訳 オセロー』(訳河合祥一郎さん、角川文庫)→【新訳 オセロー シェイクスピア:文庫 | KADOKAWA

 

シェイクスピア全集20 じゃじゃ馬馴らし』(訳:松岡和子さん、ちくま文庫)→【筑摩書房 シェイクスピア全集20 じゃじゃ馬馴らし / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著

 

『夏の夜の夢・あらし』(訳福田恆存さん、新潮文庫)→【ウィリアム・シェイクスピア、福田恆存/訳 『夏の夜の夢・あらし』 | 新潮社

 

シェイクスピア全集29 アテネのタイモン』(訳:松岡和子さん、ちくま文庫)→【筑摩書房 シェイクスピア全集29 アテネのタイモン / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著

 

 

 

 

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