コボレ恥之介と 石の下でさざめく記事たち

元・マンガ家志望。小説・映画・漫画の感想や表現技法の勉強、自作品の批評など。僕がアウトプットするためのブログです。

【DQ11S】ナギムナー村の新婚カップル、異変後の奥さん生存if妄想【恋愛モノというか冒険譚?】

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可愛くないですか?????????

ドラクエ11のモブなんですが、この姿があまりに可愛くて惚れてしまいました。

彼女が何をしているかというと……。

 

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健気!!!!!!!!!

 


ちなみにこの後、旦那氏が無事帰ってきてこうなります。
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このラブラブマンが~~~~~~~~!!!!!!!
末永く幸せになっていやがれバカヤロー―――!!!!!!!!!

…………というのが。

最初の感想だったのです。

 

が!!!


魔王が誕生し、世界に異変が起きた後にですね…………
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はあああああああ~~~~~~~~~~~ん???!!?? 


あの可愛い人が??!? 亡くなるだって??!!

 


やだやだやだ~~!!!!!! そんなのやだ~!!!!!!

 

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あたち8歳女児だから愛する推しキャラがシんじゃうなんて受け入れられな~~い! 床に転げ回って駄々こねちゃう!

 


でも閃いた。旦那氏は「亡くなった」と言ってるが、私はその現場を見ていない。

だから生きている可能性だってあるでしょう!

有名なマリー・アントワネットも言っていた。「原作で生きていないなら、生存ifを書けばいいじゃない!!!!」と。


そんなわけでここからは駄々っ子オタクの妄言です。

お嫁さん生存ifといいつつも、だいたい旦那氏がお嫁さんに再び会うために東奔西走する冒険譚になっています。ゲスト出演で世助パレードのナカマたちも。要するに好き勝手書いています。オタクってそういうもんだから!


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世界の南端にある小さな漁村・ナギムナー村

 

そこに住む漁師・アガタとその妻・チナの二人は、誰もが認めるほどの仲よし夫婦だった。

結婚して間もない彼らが見つめあう姿は、村では毎日のように目撃された。

 

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過去に海に巨大な魔物が出現し、アガタが退治に駆り出されたときは、チナは海に向かっていつまでも祈りを捧げたことがあった。その没頭は凄まじく、寝食を蔑ろにし、熱が出てふらふらになってもやめなかった。アガタを含む討伐隊の帰還があと半日遅れていたら、彼女は意識を失って倒れていたに違いなかった。彼女はそういう、献身的な人だった。

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しかし、世界が崩壊し、村から生きる活力が失われたころ。チナは病のせいで布団から出られなくなってしまった。

その病気は村では前例のないもので、冬に近づく冷えこんだ空気に呼応するように、日ごとに体温が下がり、皮膚は鱗のような、青っぽい小薄片に覆われていく。

また精神にも異常が発生しているのか、魚を丸のみしようとしたり、生きた蛙を口に含んだことすらあった。

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そんなとき、ひとりのシスターがナギムナー村を訪れた。このシスターは、ホムラの里という、長寿が多いことで有名な集落から来たそうだ。

シスターはチナの容態を心配し、ホムラの里で治療することを提案した。チナはその提案をありがたく受け入れる。アガタは当然ついていくつもりでいたが、チナは魔物のように怒り狂って拒絶した。

温厚なチナの初めて見る激昂に気圧され、アガタは村に残ることになった。

 

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アガタはチナの無事を信じ、待ち続けた。1か月後、例のシスターが再びアガタの元を訪れた。

しかしシスターが告げたのは、なんと最愛のチナの死であった。

信じられない、亡骸を見せてくれ、と頼むアガタだったが、シスターはかたくなに拒絶する。見るに堪えない姿になってしまったため、すでに火葬を終えたとのことだった。その代わりにと、シスターはチナが村を出るときに着ていた服を手渡した。

その服は夥しい量の真っ赤な血で覆われており、チナの死に際の苦しみを、強く強く想像させた。

 

また、シスターはチナが肌身離さずつけていたネックレスをもアガタに渡した。

雫型の、大ぶりな桃色の石がついた、高貴な印象のネックレスである。

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これは昔、アガタが航海の中で海底から拾い上げ、チナに贈ったものだった。チナが「死ぬまで離さない」と固く誓ったものだった。チナは約束を破るような女では決してなかった。

だからアガタは認めざるを得なかった。愛するチナはもう、この世にいないのだと。

 

唯一の救いは、シスターの「チナさんは一切苦しむことなく、安らかに息を引き取りました」という言葉だった。ガタはその言葉を不思議なほど信じてしまった。

明らかな矛盾があることに、まったく気づくこともなく。

 

 

 

 

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それから、2年の月日が過ぎた。アガタにできることは、浜辺に立って海をぼんやりと眺めることだけだった。失われた時間に想いを馳せ、幸せな記憶の世界に身を委ねることだけだった。


ナギムナー村ではこのところ、とある噂で持ちきりだった。人の寄りつかない島に、とても綺麗な魔物が出現するという。

ウィングスネーク、という蛇型のモンスターの亜種だそうだ。

 

この魔物、身体は普通のウィングスネークと同じく青い鱗に覆われているが、高価な宝石のように輝く瞳は、他とは違って可憐な桃色なのだそう。その特別なウィングスネークと出会えたものは幸福になれるだとか、反対に幸せを吸い取られて死んでしまうとか、村の酒場はそんな議論で盛り上がっていた。

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無気力なアガタにとってはどうもいい話題だが、唯一「桃色の瞳」という言葉が彼の記憶を刺激した。桃色はチナの大好きな色だった。

 

 


アガタは家の奥にしまいこんだ、チナの遺品が入った籠の蓋を開けることにした。それは今まで、辛くて見ることができないものだった。今なら落ち着いて見れる気がした。そこには例のシスターに手渡された、生前のチナの衣服も入っていた。服はしっかり洗ったものの、落とし切れなかった血液がついているはずだった。アガタは覚悟して籠を開けた。
アガタを待っていたのは、想像よりも酷い光景だった。服には血液の色がついていた。それは想像通りだった。ただ、アガタが最後に見た血液の染みは、当然赤い色だった。しかし服についた血液は、赤でなく完全な緑色だった。

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アガタは、シスターの言葉を、今ようやく疑うことができた。「一切苦しまずシんだ」? ありえない色の血を身体から大量に出した妻が?

 

シスターに会おう。

アガタは、そう決心し、ホムラの里へと向かった。彼女の残したネックレスだけを携えて。

 

 

 


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慣れない馬に乗って山を越え、辿り着いたその里に、例のシスターはいなかった。彼女は人助けの旅に出たという。ただし、幸いにも、酒場の主から興味深い話を聞くことができた。酔ったシスターが、一度だけ漏らした話だという。

 

シスターが病に侵された若い女性を里に連れてくるまでの間に、若い女性の容姿が、悪しき魔物へと変わっていったことがあるそうだ。

青い鱗に覆われ、背に羽根のようなエラが出現し、ひとまとまりになった脚は尾のように長く伸びていく。

 

そしてまた酒場の主は、こんなことも教えてくれた、彼女は人としての形を完全に失う前に、シスターに切願したという。

「村に残した旦那には、私がシんだことにしてほしい。私が凶暴な魔物になったと知っても、きっと会いに来てしまうから」

そして彼女は、シスターの制止を撥ね退け、行方をくらませた。

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チナがシんでいなかったこと。しかし魔物になってしまったこと。

驚くべきことはたくさんあったが、アガタが何より先に覚えたのは安堵だった。愛しいチナは、生きている。
そしてアガタは思い出した。村の漁師たちが言っていた、桃色の瞳を持つウィングスネークの話を。

 

その無人島のウィングスネークこそがチナなのだ!

数々の目撃証言は、チナからアガタへのSOSだったのだ! 明らかに乏しい根拠だが、アガタは確信した。


アガタは、酒場の主に問うた。シスターから、魔物を人間に戻す方法を聞いてはいないかと。酒場の主は、里に伝わる「やたの鏡」という道具を使えば可能かもしれないと言う。鏡面に真実の姿を映しだし、元の姿に戻す効果があるそうだ。

ただ、この鏡は火山の奥に住む竜に飲みこまれ、以来その姿を見た者はいないという。もっとも火山には凶暴な魔物がわんさかいるため、入れるものはいないに等しいそうだが。

一介の漁師に過ぎない脆弱なアガタは、火山に一歩足を踏み入れただけで、魔物に叩き潰されるに違いなかった。

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失意に苛まれるアガタ。それとは裏腹に、里は陽気な空気で満ちていた。サーカス団のメンバーを名乗る3人組が、ホムラの里に遊びに来ているのだという。名をそれぞれ、パンチョバッチトンタオと言った。

 

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この3人は、ふざけた格好にも関わらず、武の心得もあるそうだった。アガタが3人に、自分が火山に入る手伝いをしてくれないかと願い出ると、3人は二つ返事で了解した。

アガタは目の前に希望の光が宿るのを感じた。

 

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火山に入ると、多くの魔物がアガタたちを襲った。彼らは負けじと応戦した。
ダンスを得意とするパンチョが踊るようなリズムで短剣を操り、バッチが太鼓を叩くようにリズミカルに、敵に双剣を叩きこむ。それでも向かってくるものはトンタオが炎を宿した大剣で払い去った。アガタも微力ながら、薬草等の道具で援護した。


そして彼らは、火山の最奥部に着いた。鏡を飲みこんだという竜はいなかった。

(後で酒場の主に聞いたところ、旅の勇者が倒したのだという。アガタたちは焦って話を流していたのだ。勇者と竜の壮絶な戦いは、別の場所で語られているだろう)

竜はいなかったが、その代わり、砂まみれの鏡がぽつりと落ちていた。竜の胃の中にあったせいだろうか、装飾の一部は溶けていた。 こうしてアガタは、「やたの鏡」を手に入れた。

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あとはそう、妻を迎えに行くだけである。

 

 

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アガタは、桃色の瞳を持つウィングスネークの目撃証言がある、とある小島にやってきた。ホムラの里を過ぎ、山を越え、海を越えた、世界の最南端とも言えるような島だった。旅は道連れ世は情け、パンチョ、バッチ、トンタオの3人も彼の旅についてきた。そこかしこに凶猛な魔物が跋扈する時代だ、3人の助力はアガタにとって大変ありがたいことだった。


島を隈なく探し、アガタらは噂のウィングスネークを見つけた。穏やかで優し気な桃色の目は、チナのものに違いなかった。アガタは鏡をウィングスネークに向けた。しかし何も起こらなかった。

やたの鏡の伝説は嘘だったのか?それともこのウィングスネークの正体がチナだというのは、やはり思いこみだったのだろうか。


そのとき、パンチョが「あっ」と声を上げ、アガタの胸元を指差した。服の下で、何かがぼんやりと光っている。見るとそれは、チナが残したネックレスだった。桃色の石が何かを訴えるように光を放っている。アガタは、石を鏡に触れさせた。そして強い祈りをこめて、鏡面をウィングスネークへと向けた。

 

 

 

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ウィングスネークを強い光が包んだかと思うと、その光の中からチナが現れた。

 

アガタの知る、人間の姿のチナだ。ただ、身体はところどころに青い鱗が残り、薄茶色だった瞳は非人間的な薄桃色になっている。

 

それでもアガタは構わなかった。光を反射させ虹色に輝く鱗、宝石のような透き通った瞳。遺憾に思うところなどどこにもなかった。

 

アガタがチナを優しく抱き締めると、チナは躊躇いながらも彼の背に手を回した。

 

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アガタは二人でナギムナー村へ戻ることを提案した。しかし、いつかまたチナが魔物の姿に戻る恐れがなくなったわけではない。そうなったとき、弱い村民たちは対処できるのだろうか。どこに行けばいいのだろう。

 

その不安に応えたのは、パンチョ、バッチ、トンタオの3人だった。

彼らは今、ソルティコという町に暮らしているという。ソルティコは騎士の町として名高く、武に長けた者が多く暮らしているそうだ。

それに、ソルティコは海沿いの町なのだそう。美しい海を見てほしい、とパンチョは進言した。美しい海! 漁村で暮らし慣れた二人は、その言葉に大いに魅了された。

アガタとチナは、ソルティコの町へ向かうことにした。新たな生活をスタートさせるために。

 

この先もずっと二人は、末永く幸せに暮らせるだろう。そこにいる誰もが、それを信じて疑うわなかった。

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……さて、長々と生存if妄想を語ったわけだが。正直、書いていて生存ifが本当に正しいことなのかとすら思えてきた。
原作では残された旦那氏が今、必死に大切な奥さんの死を見つめようとしている。それなのに、この妄想はそれに反する内容である。生存if妄想は、現実と正面から向きあおうとする彼らの努力を邪魔する行為なんじゃないか? 亡くなった奥さんにも失礼なんじゃないか?

その答えは――分からない。何故なら、作品内にいる彼らに聞くことができないからだ。
そもそもこの妄想を書いたのは、残された旦那氏のためではない。かといって亡くなった奥さんのためでもない。
ただ私が、辛くてどうしようもなくなっているからだ。自分自身をまやかしで慰めるためだけのものなのだ。


今私は11Sの異変後の世界を半分ほど旅している段階だ。クリア済みのドラクエ113DS版)から察するに、過ぎ去りし時を求めた後の世界では、どうやらナギムナー村のカップルの奥さんは生きているようだ。
生存ifを書いてる暇があったら、早くクリアしろって話ですよね。はい。やります。


救います、世界を。大好きな人の笑顔のためにね。


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■ 余談 ■


ちなみに「パンチョ・バッチ・トンタオ」という3人組は原作にもいるキャラクター。名前も原作通りです。シルビアさんの世助けパレードのナカマだよ。
アガタとチナという名前は私のオリジナルです。チナさんにいたってはセリフが3パターンくらいしかないドモブです。そんな名もなき村人にA4用紙5枚分の妄想レポートを書かされちまうとはね。ドラクエ11S、罪深きゲームである。

 

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