コボレ恥之介と 石の下でさざめく記事たち

元・マンガ家志望。小説・映画・漫画の感想や表現技法の勉強、自作品の批評など。僕がアウトプットするためのブログです。

ロミジュリ激長感想文〜ジュリエットちゃん愛してるよ〜

ジュリエットちゅわん! 好き好き好きだ〜!!!!!

 

ちくま文庫版ロミジュリ読みました。ジュリエットちゃん好きすぎて呻き声上げまくりました。そんなわけで感想アホ長くなります!

 

f:id:nnaboraababa:20210314092904p:image

 

一昨年の12月末に、別の方のロミジュリを読み、1年少々経ってちくま文庫版で読み直し。昔は正直「さほど面白くはないな」と思っていたが、今回はもう面白くてドキドキしてハラハラして、そのせいでページがなかなか進まなかった。考察本でジュリエットちゃんの可愛さを知ったお陰だね。


※ジュリエットちゃんの愛しさについては↓下のほうにおまけでつけた、考察本の感想で呻き倒しました。要約するとジュリエットちゃん好きだ大好き愛してる。

 

パリスさんすげぇいい人だった。
ロミオはかっこよかった。昔読んだときは何だこの情けないわがまま男と思ったけど、けっこう男らしかったね。
バルコニー・シーンでジュリエットちゃんに『君が愛してくれないなら/命を断たれるほうがまし』とありきたりな口説き文句を言うが、これ、嘘じゃないんだよね。有言実行男でした。もうちょい不誠実な男なら悲劇にならなかったものを……。
マキューシオくんがコロされて敵討ちのために闘う姿は、前は向こう見ずすぎてイマイチだったけど、今回は好きだなと思った。

文字が読めない召使いのために手紙を読むシーン、昔はスルーしてたけど、これがキャピュレット家のパーティーを知るきっかけだったのね!

ちくま文庫版は訳が分かりやすい。が、そのせいで卑猥さが際立っている。マキューシオくんが乳母に言った『日時計が淫らな手で……』のとこ、初めて読んだ別の方の訳のときは「?」だったけど、ちくま文庫版は露骨でした。
『穴があったら……』のジョークのところに誤植にあらず、って注釈をつけた話は知ってたけど、それを確認できてよかった。

ジュリエットちゃんは清純そうに見えるけど、乳母を「罰当たりな老いぼれ!」とか叱咤する力強さがあるとこ、好きです。

キャピュレットさん、記憶ではもっといい人だと思ってたけど、娘への態度は現代人としてはウーンと唸らざるを得なかったね。『わしの娘なら、わしの気に入った男の嫁になれ。そうでないなら、首くくれ、飢えて野垂れ死にしろ』
家父長制の時代ですからね。当時はこの思想も、あまり逸脱したものではなかったのかもしれない。もっと大袈裟なもので言えば、『夏の夜の夢』だと親父が気に入った男と結婚しなきゃ死刑ですからね。さすがにこれは行きすぎだけど。
あとキャピュレットさんで「こいつ……(引)」って思ったのは仮死状態のジュリエットちゃんを見つけたときのセリフ。『死神があなたの妻を寝取ったのだ』お前、お前、よく自分の娘に「寝取られた」なんて言えたなあ!? しかもシんでるんやぞ!? いや実際はまだ何もシんでないけど、キャピュレットさんはシんだと思ってるわけだろ、その状態で「死神に寝取られた」って……。
卑猥なジョークはバンバン出てくる作品だけど、ずば抜けてひっどいのはキャピュレットさんのこのセリフだと思う。いや、別訳だと露骨ではなかったから、原文だと意味が違うのかもしれないけど。ただちくま文庫版で1番ひでーのはこれ。2番目は冒頭のサムスンのセリフ。『急所をねらって男なら痛い目、女なら……』。

第四幕第五馬、ジュリエットちゃんが仮死状態になり、悲しみと緊張が押し寄せる場面の直後の、ピーターと楽士のテンポのよい会話はリラックスできていいね。その分この後の悲劇が際立ってしまうのだけれど。

ところで。私は先日『ハムレット』を読んだ。そして今回ロミジュリを読んで、このふたつの作品は終盤に墓場が出てくる、という謎の共通点があることに気がついた。今の日本で特に有名なシェイクスピアの作品といえばこのふたつだと思われるが、そのふたつに奇妙な共通点があるのが面白い。まあただ私が面白いと思っただけで、これ以上ここは広がりませんが。

角川文庫版『ヴェニスの商人』の脚注では、死に際にジョークを放つマキューシオくんについて、『そうした死を達観した態度は、男らしい美徳とされていた』とあった。第五幕第一場で死を決意したロミオが薬屋に『貴様の心にではなく、貴様の貧乏にやるのだ』と言う余裕を見せるのは、この「男らしい美徳」というものだったのかもしれない。

ロミオがシぬシーン、泣きそうになったよおおー。『目よ、これが見おさめだ』このセリフが悲しくて寂しくて辛くて……。『抱き締めるのもこれが最後!』もしんどい。ウッ、感想書くために読んでる今も……クる……。

 

 

 


--------------------------------------

 

■おまけ 考察本の感想■

 

ロミジュリのとこだけ読み直して感想書きました。ジュリエットちゃんのことを超絶褒め讃えました。

 


■『深読みシェイクスピア

バルコニー・シーンでジュリエットちゃんがロミオにthou(ザウ)と呼びかけるという指摘! これのお陰で私は! ジュリエットちゃんが好きになったんじゃあ!!!!
thouは古典英語の英単語。二人称の代名詞。端的に言えばyouと同じ。このふたつの単語の違いは、youは丁寧な「あなた」、thouは「お前」。砕けた言い方。自分と対等か、あるいは目下の相手に使うもの。

ジュリエットちゃんはね、ジュリエットちゃんはだね、ロミオに対して対等の関係にあると思ってるんですよーーー!!!! ロミオのが年上なのにね!!!! はー好きです
「おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの」このセリフが有名だが、その有名なセリフが「ロミオさま」でなく「ロミオ」って呼び捨てなの大好きです。ありがとうこの言葉を使ってくれる日本人。

他の方の訳、みんなジュリエットちゃんはがロミオに敬語ね。thou感がない! thou感がなああああいいいい!!!!!!!!!!!! 重要なのであと1回言いますねthou感がないぞおおおおお!!!!!!!!!!
私がジュリエットちゅわんのどこが一番好きかってこのthouなんだよ、バルコニー・シーンで、出会ったばかりの年上ロミオにthouって呼びかけて結婚しようってジュリエットちゃんから言うっていうところが好きなんだ分かるかーーー!!!!!!!!!!!

ロミオと出逢って手にキスされて、そしたら名前も知らないロミオをお前呼び💜💜💜 好きなタイプの女すぎる💜💜💜 私のこともお前って呼んでください💙💙💙💙💙💙💙
ジュリエットちゃんの手に口づけしたい……。いやもういっそ足にキスさせてください。貴女の足の爪の先で私の唇を傷つけてくれ〜!

 

 

■『すべての季節のシェイクスピア

失恋直後の人のパワーは恐ろしい。ロザラインへの失恋があったからこそ、ロミオは向こう見ずになってしまったんだろうな。
毒薬を飲み干したロミオに『O churl!』(ケチ!)って言うのあどけなくて可愛いんだよよおおおおお!!! まだ13歳!!!! 幼いんだよ!!!!

品の悪いジョークばかり言う乳母の傍にいて下ネタ言わないジュリエットちゃんの清純さよ
ティボルトの死を嘆くフリをしてロミオの追放を嘆くしたたかなジュリエットちゃんも大好き
「愛を誓って」と言った直後に「やっぱり誓わないで」というジュリエットちゃん……。相手を翻弄しようという気があるのでなく天然でロミオを翻弄する魔性っぷり💜💜💜💜💜

 

 

■『快読シェイクスピア

ロミオの名前を乳母に聞くとき別のふたりの名前を聞いて、3人目にロミオの名前を聞く、ジュリエットちゃんの聡明さ。ンァ〜好き〜!
今までの翻訳の中で一番猥褻、と松岡さん本人も言っておられて笑いました。

イタリアのヴェローナに、実際にジュリエットちゃんの像があるそうで。ジュリエットちゃんは神さまになった、という言葉に救いを見出しました。


結論。
ジュリエットちゃん大好き愛してる。

 

--------------------------------------

◆『シェイクスピア全集2 ロミオとジュリエット』(ちくま文庫版)→【シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫) | W. シェイクスピア, William Shakespeare, 松岡 和子 |本 | 通販 | Amazon