本の感想2019スターターズパック
この感想記事……読みやすいぞっ?!(当社比)
しかしこのコボレ恥之介なるブロガーは、長い文章を読むのが基本的に億劫だからと短編集ばかり読んでいる。その割に書く記事は長々としている。不親切ではあるまいか?
そんな(地球上で唯一僕だけが抱えている)疑問を解決すべく、短い感想というのもご用意させていただきました。
複数作品を抜粋した豪華バラエティパック!
……何て動機は嘘です。
ツイッターに投稿している読了直後の感想ツイートを貼っただけです。
つまり記事になる前の、種段階の感想。
その内しれっと1,500字ほどのロング感想文として別記事に投稿すると思われます。その際もよろしければおつきあいを……。
【※ネタバレ注意※】
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◇『風花病棟』(帚木蓬生さん、新潮文庫)。
ある村の病院の庭に生えた百日紅が印象的。医院の主である医者が木を毎年同じ箇所で剪定し、大きなコブを作っているのだという。そのコブが大きいほどよいのだそう。
卑屈な目を通せば悪性の腫瘍のようにも思えるそのコブを進んで拵えようとは実に奇妙な趣味だ。医者であればなおさら奇妙に移る。しかしその百日紅はコブの作り手=優しく村人想いな院長とともに愛されていた。上手く言葉にはできないが、その大きくて無骨なコブには温かな印象を覚えた。
◇『アウトプット大全』(樺沢紫苑先生、サンクチュアリ出版)。
一番感動したのは『人生を「失敗というコインを10枚貯めたらレベルアップするゲーム」だと思えば楽しくなるね』という提案。
10個ミスしたらドラクエのシルビアさんに頭の中で「い〜〜い感じ!」って言ってもらうことにしました。
ちなみにですが、僕はこの本を読んでブログというものを始めました。別記事でこの本は何度も触れるだろうと思います。
連作短編集。
36歳の女性養護教諭が高校生男子に淡い感情を抱く話が印象的。
男子高校生くんが同い年の女の子といるとき、養護教諭さんを「保健室のおばさん」と表現したのは少し寂しい。
彼にとって養護教諭さんはどんな存在だったのか。気にかけてはいるみたいだったが。彼側からの話も見てみたい。
◇『見知らぬ私』(角川ホラー文庫)。
ホラーアンソロジー。
篠田節子さんの『陽炎』が印象的。深い毛の生えた青白い足の霊、というのが生々しい。青い足は赤い着物との対比が美しい。その足が鋭い夏草を踏むというの描写も奇妙でいい。幽霊とは足のないもののイメージが強い。女物の着物を着た妖艶な男性。
テンプレ的な長髪白装束女の霊とはまったく異なるため、かえってリアリティがあった。
ぼんやりとしたままシにゆくさまは恐ろしい。恐怖を伴わないシの描写は身近に感じられてしまい、身の毛がよだつ。
仲間がヒロインを助けようとするものの、自身の身の安全のために諦めるシーンは苦しい。
そしてここも生々しい。ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』を思い出した。
しかし蠱惑的な霊のせいで、嫌な気分が湧いてこない。それが一番恐い。
恐怖の場面を淡々と語られる恐ろしさは、『雨が止むまで』(鷺沢萌さん、同アンソロ内収録)にも感じた。
◇『嗤う名医』(久坂部羊さん、集英社文庫)。
医療×サスペンス、と言うべきか? 短編集だが、話ごとの色がまるで違う。不幸女の悪運話、頭蓋骨フェチ男の犯罪話、ハードコア風俗にハマる男の体験談、超能力ミステリ。
一番ぞくりとしたのは『寝たきりの殺意』という話。
息子の嫁から介護を受ける老人が、嫁をコロそうと画策するクライムサスペンス。……と思いきや、病気の怖さについての体験型ストーリーであった。その展開はある程度予想していたが、嫁の正体には驚いた。
頭蓋骨マニアの犯罪方面への行動力やハードコア風俗の描写のリアリティには引いた。
◇『政治家のコロし方』(中田宏さん、幻冬舎)。
政治家って政治絡みのことが多くて大変ですね(?)。
捏造スキャンダルを受けたことが執筆の動機でいらっしゃるようですが、メインが「政治の理解されなさ、難しさ」というところから見ると、スキャンダルは本当に捏造なのだろうなと思いました。
ホンマもんのスキャンダルやったら、一冊丸々スキャンダルは嘘だよーんっていう言い逃れに使いますものね。
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*以下、紹介した本の詳細URL。リンク先はそれぞれ出版社の公式HP(例外あり)
*『風花病棟』→【帚木蓬生 『風花病棟』 | 新潮社】
*『アウトプット大全』→【学びを結果に変えるアウトプット大全|サンクチュアリ出版】
*『田村はまだか』→【田村はまだか 朝倉かすみ | 光文社文庫 | 光文社】
*『見知らぬ私』→【見知らぬ私 ホラーアンソロジー 綾辻 行人:文庫 | KADOKAWA】
*『嗤う名医』(リンク先:紀伊國屋書店ウェブストア)→【嗤う名医 / 久坂部羊【著】 <電子版> - 紀伊國屋書店ウェブストア】
*『政治家のコロし方』→【政治家の殺し方 | 株式会社 幻冬舎】