コボレ恥之介と 石の下でさざめく記事たち

元・マンガ家志望。小説・映画・漫画の感想や表現技法の勉強、自作品の批評など。僕がアウトプットするためのブログです。

名ゼリフなし! シェイクスピアの個人的に好きなセリフを、ただ列挙しただけの記事

シェイクスピアにハマっています。
ときに生々しく、ときに陽気な、よく練りこまれたストーリー。芯のある個性的なキャラクター。
それらも大きな魅力だと思ってはおりますが、僕を最も魅了したのは巧みなセリフ回しです。
練られすぎて分からないようなセリフも正直多いが、「痒いところに手が届く」「言い得て妙」と言うようなスッキリとした言葉選びも山ほどある!
現時点でちょうどシェイクスピアの訳を拝読して10作品目になるので、僕が特に気に入っているセリフをまとめてみました!
ちなみに自分用のまとめなので、他サイトで名ゼリフとして取り上げているような、辛いときに思い出して勇気をもらうようなお言葉はほぼありません。

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◆「どうして君の目にからかい半分としか映らないのだ、一言一句、まことの烙印がついているのに?」
-『夏の夜の夢』(『夏の夜の夢・あらし』、訳:福田恆存さん、新潮文庫

…妖精の惚れ薬のせいで、恋愛関係がぐちゃまぜになる男女の話。
ハーミアという女性と結婚直前までいった男・ライサンダーは、惚れ薬のせいで別の女・ヘレナを口説きだす。このセリフはそんなライサンダー「僕のヘレナへの気持ちは、嘘じゃないってば~!」とヘレナさんに言うシーン。
この後ライサンダーは、最愛だったはずのハーミアに「どけ、ちび」だの「ふりとばしてやる」だの散々なことを言う。お前さん、さっきまでハーミアに「僕の心は君の心に結ばれているよ……」って言ってたじゃねーかよ!(爆笑)



◆「僕の心にとって、ハーミアは、いわば旅人の求める仮の宿。今は、ヘレナのうちに故郷を見いだし、そこを永住の地と思っているのだ」
-『夏の夜の夢』

…第二の男・デメトリアスの言葉。彼も最初はハーミアが好きだったのに、惚れ薬のせいでヘレナさんにぞっこん。シェイクスピアは語彙力が豊かだからこそ、ああ、こんなにも面白い! 巧みな愛の言葉が真剣さを醸し出し、それゆえに滑稽さが際立ってくる。『夏の夜の夢』をシェイクスピア以上に面白くできる人間は絶対にいない!
ちなみに最初、ヘレナさんはデメトリアスに片想いをしていた。デメトリアスはヘレナさんを冷たくあしらっていた……はずが突然、こんな風に求愛してくるんです。そらビビるわ。惚れ薬の存在を知らないヘレナは、みんなして自分を馬鹿にしていると思って卑屈になる。可愛い。



◆「ひるんだのではないか、さすがのマクベス、バンクォーも?」「はい、ただし鷲がスズメに、ライオンがウサギにひるむていど」
-『マクベス シェイクスピア全集3』(訳:松岡和子さん、ちくま文庫



◆「世間を欺くには世間と同じ顔をなさらくては」
-マクベス


◆「魚は食べたいが、足は濡らしたくないという猫そっくり」
-マクベス

ほしいものはあるが、そのために努力をしたくないというマクベスに対し、マクベス夫人が投げたお叱りの言葉。まさに言い得て妙、かっこいい!

※ちなみに、そのほしいものとは権力であり、そのための努力とは王をコロすことである。



◆「消えろ、消えろ、束の間の灯火!」
-マクベス



◆「わが踵にかけて」
-ロミオとジュリエット(訳:中野好夫さん、新潮文庫



◆「如意棒おったて穴探し」
-ロミオとジュリエット



◆「なるほど、井戸よりゃ浅かろうし、教会の戸口よりゃ狭かろうじゃねえか」
-ロミオとジュリエット

…ロミオの親友・マキューシオが、刺されてシにそうになっているときに放ったセリフ。「おい、元気を出せ。たいしたことはない、傷は」というロミオのセリフへの返答である。重傷を負っているのにジョークを言うところがあまりにかっこよくて惚れてしまった。この後の彼の大活躍に多大なる期待を抱いた瞬間だった。



◆「弟と呼ぶのも口の穢れ」
-『あらし』(『夏の夜の夢・あらし』、訳:福田恆存さん、新潮文庫



◆「ああ、書記に是非とも俺を頓馬だと書留めておいて貰いたかった!」
-『空騒ぎ』(『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』、訳:福田恆存さん、新潮文庫

「頓馬」を褒め言葉だと思いこんでいるお馬鹿キャラ・ドグベリーのセリフ。裁判で「頓馬」と罵られたが、そのことを記録してほしくてたまらなかったようだ。


◆「お黙り、その口を塞いであげよう」(接吻する)
-『空騒ぎ』

…420年前から「うるせぇ唇だな、塞ぐぜ(チュッ)」ってあったんですね。笑いました。



◆「心に何の屈託のない人には金言も聞いていてけっこう楽しめますが、悲しみをこらえている者には重荷です」
-『オセロ』(訳:三神勲さん、角川文庫クラシックス

名言製造機・シェイクスピアが言うからこそ響く言葉。シェイクスピアは語彙力の神さまだが、言葉の無力さを誰よりも理解していたように思う。



◆サー・トービー・ベルチ(※人物名)
-十二夜 シェイクスピア全集6』(訳:松岡和子さん、ちくま文庫

…これにいたっては登場人物の名前です。
この本いわく、『サー・トービーの姓Belchとは「げっぷ」のこと』なのだそう。
僕は正直ずっとシェイクスピアは高尚なものだと思っていたが、「ゲップおじさん」なんてキャラクターを作るような楽しい人なのかと思って安心した。

内容も賑やかなラブコメディー。オチは少し苦みが残るが……。



◆「あなたのその目、私を虜にして、まっぷたつにしてしまった。半分はあなたのもの、もう半分もあなたのもの」
-ヴェニスの商人(訳:河合祥一郎さん、角川文庫)

…バサーニオという男に惚れた女・ポーシャのセリフ。何か言ってそうで何も言ってないところに、恋する乙女らしさがあって面白い。

ちなみにポーシャさんは本来、とてつもなく頭の回転が速く、かつ勇敢なかっこいい女性。



◆「軽く開いたこの唇、甘い息が通っている――そんなすてきな息だから、こんなすてきな二つの唇の仲を引き裂ける」
-ヴェニスの商人



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◇◆本の詳細(それぞれ出版社公式サイトへのリンク)◆◇

■『夏の夜の夢・あらし』→【ウィリアム・シェイクスピア、福田恆存/訳 『夏の夜の夢・あらし』 | 新潮社

■『マクベス シェイクスピア全集3』→【筑摩書房 シェイクスピア全集 3 マクベス / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著

■『ロミオとジュリエット』→【ウィリアム・シェイクスピア、中野好夫/訳 『ロミオとジュリエット』 | 新潮社

■『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』→【ウィリアム・シェイクスピア、福田恆存/訳 『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』 | 新潮社

■『オセロ』→【オセロ シェイクスピア:文庫 | KADOKAWA

■『十二夜 シェイクスピア全集6』→【筑摩書房 シェイクスピア全集 6 十二夜 / シェイクスピア 著, 松岡 和子 著

■『ヴェニスの商人』→【新訳 ヴェニスの商人 シェイクスピア:文庫 | KADOKAWA

 

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イメージ画像として使ったこの絵の人は『夏の夜の夢』にて惚れ薬のせいで二人の男に惚れられてしまう女性・ヘレナさんをイメージした絵。ヘレナさんはちょっと気が強い雰囲気があるけれど、突然の状況変化に戸惑うさまが可愛らしくて好きです。