コボレ恥之介と 石の下でさざめく記事たち

元・マンガ家志望。小説・映画・漫画の感想や表現技法の勉強、自作品の批評など。僕がアウトプットするためのブログです。

人間は存在しているか? 本当に?

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早く人間になりたい。

 


……唐突なこの嘆き。妖怪人間ベムごっこがしたくなったという訳ではない。
これは僕が先日まで、度々抱いていた気持ちの話である。

 

 

 


僕はあまりに人間社会に不適合だった。

自分本位で、短気で、肥大化したナルシシズムによって自分自身を傷つけるような浅ましい行為に走り、人に迷惑と心配をかける。喋ることも聴くこともできず、自分の殻に閉じこもり、暗い感情にばかり苛まれる。衝動的で攻撃的。小さくてどうでもいい欲望にさえ抗えず、根性がなく、人の役に立つことなどほとんどない。

 

僕が人間であると証明できるものは、人間の見た目をしているというただ一点のみであった。

 

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あまり魂という言葉は好きではないが、便宜上その表現を使わせていただこう。

僕の魂は、人間のそれでなく、ノミや宇宙人に入るべきだったものなのだ。


本来ノミに入るべきだった魂が、何の因果か僕の身体に入ってしまったのだ。

そう考えたほうが納得できた。

 

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けれどこの考えは友人のとあるひと言で大きく変わった。

その日僕は、思い切って友人に打ち明けた。「たまに自分が人間でないのではと不安になる。宇宙人かもしれないと思う。馬鹿馬鹿しいとは分かっているが、ときどき考えてしまうんだ」と。
すると友人は、「晴れの日は空が晴れているよ」とでもいうような、当たり前な事実を口にするように言った。

 


「恥之介が宇宙人でも、別に構わないよ」

 

 

 



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……そもそも。

人間とは何なのだろう。
そもそも。

 

人間はこの世に存在しているのだろうか?

 

 

 

 

 

胡蝶の夢という故事成語がある。
中国にかつて存在した思想家・荘子がある日、蝶になった夢を見た。目が覚めたとき、荘子はこう思ったのだという。


荘子が蝶になった夢を見たのだろうか。それとも今、蝶が荘子になった夢を見ているのだろうか」

 

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本当は僕が今生きているこの世界も夢の中なのかもしれない。この世界に妖精やユニコーンやドラゴンがいないのと同じように、本当の世界には人間なんて存在していないのかもしれない。
果たしてそんな未確認生物に、無理に自分をあわせようとする必要などあるのだろうか?

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……もちろん、仮にこの世界が幻だったとしても、僕は今このまやかし世界を生きていることに変わりはない。
だからこの世界で生きやすくするように、自分を変えねばならない部分だって当然ある。

それは当然、ある。

 

 

 

 



本当の僕は、宇宙人かもしれない。ノミやカマドウマやアリかもしれない。妖精やドラゴンかもしれない。泥や垢を固めてできた人形かもしれない。
だけれどきっと、そんな些末なことはどうでもいいのだ。
大切なのは、どう生きるかだ。


 


そんなことに気づかせてくれた友人には、この場を借りて深く礼を言いたい。
ありがとう。本当に、本当に、ありがとう。

 

 

 

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できればずっと、こんな僕と友達でいてほしい。

 

 

 

 

*『胡蝶の夢』とは?(コトバンクへのリンク)→【胡蝶の夢(コチョウノユメ)とは - コトバンク