トマアド好き語り×50+! 『トマトアドベンチャー』(アルファドリーム)感想
人生とともにあったゲーム。
僕の血はたぶん、トマト色。
『トマトアドベンチャー』。略してトマアド。ゲームボーイアドバンス専用のこのゲームは、僕が人生を通して最も愛したゲームのひとつだ。一種類のソフトで10年以上プレイしたものは、僕にはこれの他にはない。(※例外としてポケモンシリーズがあるが、ひと世代のひとバージョンのソフト単体、という単位で語ると、トマトアドベンチャーには匹敵しない)
しかしこのゲームを手がけた株式会社アルファドリームさんが10月1日に破産手続きの開始決定を受けたそうだ。僕は憂いと悲しみの中に心を沈める以外にしばらく何もできやしなかった。
それから数日が経ち、ようやく思えた。
せっかく作品の感想を述べるブログを僕はやっているのだ。ここに大好きな気持ちを記さねば。
………と意気ごんだはいいものの、何とも恥ずかしいことに内容がまったく思い浮かばない。
あまりに好きの期間が長すぎたのだ。出会ったばかりのころの僕は好きを言語化して記憶することは到底かなわないほど稚拙であったのだ。
ただその代わり、断片的にいくつもの「好きの欠片」は思い浮かんでくる。
長くなるとは思うが、今思い出せただけをひとまず書き留めてみるとしよう。
予告しておきますと、好きポイントはとりあえず50個超あります。ご一読の際はお覚悟を。
「トマトマ、トマ~ト ケチャプップ~」という陽気な歌とともに、オムライスにケチャップをぶっかけ続けるCMが印象的だったこと。
武器のコマンド入力にボタンを連打するものがあり、そのせいでゲーム機のAボタンがすり減って、ボタンの色が3トーンも薄くなったこと。
コマンド入力の難易度が高く、制覇するのに苦労すること。
エンドロール時のみ、それぞれの武器の使用回数が確認できること。
キャラクターが生き生きしていて、かけあいが面白かったこと。
公式攻略本とゲームに差異が多く、タンスにあるはずのアイテムが横の壺に入っていたりしたこと。(※たしかオイスタウン、ノミコンダキッズ赤の先の家)
攻略本にて、主人公・デミルの名前が一か所「デビル」というまさかの誤表記になっていること。
ゲーム内でもアイテムをキャラクターに渡さないと開かないはずの扉が、別の場所から見ると何故か開いていること。(※バルサミドーム、レム/ノンレム迷路をクリアしておわりのハリを手にした直後。ダレコさんにハリを渡す前に表ドームに行くと、何故かおわりのとけいが開いている)
トマトが食べられないと迫害されること。
ポットを持ってきてほしいと言われたから持ってきただけなのに、何故か力づくで奪おうとしてくること。
メカに強くてたまに男口調になる、けれど恋のために動く愛らしい女の子がいること。
ダイエットのためという理由で仲間になるキャラクターがいること。
シニカルでミステリアス、たまにお茶目な仲間キャラクターがかっこよかったこと。
『昔あるところにおじいさんとおばあさんがいました』と言っただけで大号泣するようなヒロインを助ける話であること。
たくさんの目玉を持った怪物の口の中に入っていくなど、子供向けとは思えないほどにおどろおどろしくグロテスクなステージがあること。(※ス・クリーム山、一番最初のゲートが一番おぞましい見た目だと個人的には思います)
満点を取れば超強力アイテムが手に入るミニゲームがほぼ完璧にこなせるようになったこと。(※絶叫サーフィンの話)
しかしそれによく似たミニゲーム(※わびさびかけじく)は苦手で、未だに練習が必要なこと。
天使のように愛らしいキャラクターが、ドラクエのデスピサロのような歪で禍々しい怪物になって、敵キャラクターとして立ちはだかること。
セクシーな女怪盗が登場すること。
作中の、噓つき探しゲーム(※算数の教科書にも載っているような、論理的思考を形成する小学生向け推理ゲーム)は難しすぎて、解き方を理解するのに10年以上かかったこと。
ロボットを操作してトラップを解除するミニゲームが難しすぎて何度でも挑戦してしまうこと。
夢の中をイメージしたステージは幻想的で、そしてまたどこか不安を掻き立てられて、吸い寄せられそうになること。
今が夢なのか先ほどまで見ていた夢だと思いこんでいた時間が現実なのかわからないという、哲学的な問いを投げかけられること。(※裏ドーム、枕の傍のモブのセリフ。「胡蝶の夢」という故事成語を思い出す)
「物語の調整をするため」などという理不尽な理由で倒される鳥モンスターがいて、悲しくなること。(※ポポックが倒される理由が裏表の両ドームの整合性のためって酷くない?)
実現不可能な立体物であるはずの『ペンローズの三角形』がステージにいくつも起用されており、しかもその上を歩けること。
子供だけの国を舞台に、冒険の中で野良モンスターを武器で倒していくゲームだが、「大人は全員モンスターに変えられてしまった」というえげつない裏設定があること。
その国を作り出した王の姿がおしゃぶりを加えた赤ん坊という点が、すごく興味深いこと。
ラスボスの最終形態は充血した眼球が外に飛び出ていて歯もぐちゃぐちゃで、大変グロテスクなこと。
ラスボスの一番強い技の名前が「メッチャすごいの」で、いつも笑ってしまうこと。
味方を無敵状態にして「メッチャすごいの」での大ダメージを防げたときの心地よさったらないこと。
どれだけ野良モンスターに当たらないかチャレンジができること。
クリア後の楽しみとして用意されているカードバトルはなかなか上達できないこと。
タイムアタックゲームが難しくてまだまだ修練が必要なこと。(※下水道レースの話)
うさぎをモチーフにした武器が強くて使い勝手がいいこと。(※ラビットシューズ)
昔隣の家に住んでいた、大好きな友達から勧められたゲームであったこと。
その友達と自作のファンアートを見せあったこと。
その友達は引っ越してしまって、連絡先も分からないこと。
もうしばらく後に引っ越してきた別の子が、最初の自己紹介で「好きなゲームはトマトアドベンチャー」と言ったこと。
それがきっかけでその子と仲良くなったこと。
僕が初めてマンガ用原稿用紙に絵を描いたのは、その子の家でだったこと。
僕がマンガにおいて最初に目標にした人物は、その子だったこと。
それからマンガ家を目指すようになったこと。
それからしばらく経ってトマアドに飽きたころ、また別の友達からゲームを借りたとき、その代わりにトマアドを貸したこと。
返してもらう前にそのトマアドを貸した子は転校してしまったこと。
数年が経って、だんだんどうしてもトマアドをやりたくなってきたこと。
トマアドのゲームソフトを店先で見つけ、買ったこと。
久しぶりにやったトマアドは、やっぱりとっても面白かったこと。
捨ててしまった攻略本も新しいものを買い直したこと。
買い直した攻略本の裏表紙にでかでかと映るキャラクター絵も、数年前と同じく指が6本になっているという作画ミスがあったこと。(※裏表紙でラブラブドレミを持つアレサちゃんは6本指だが、プロローグページのかおケンケンを使うデミルや出現モンスターリスト末尾の怪盗ベリーのカットは指が5本。「人間」キャラは指5本が基準なのでは? ちなみにウープスやアウチは指4本だが、彼らは人ならざるものなので別である)
セーブが4つまでできること。
キャラ名をそのときハマっていたキャラクターのものを流用して各キャラへの理解を深めるのが楽しいこと。
トマトが大好きになったこと。
何度やっても飽きないこと。
何度やっても新鮮な気持ちで楽しいこと。
『ピーマンアドベンチャー』という続編の影を最後にちらりと見せること。
それぞれの記憶がどれも濃密で、掘り下げようにも他の要素がちらついてしまって叶わない。
だからもう、こんな風に上げ連ねるだけにする。
今度また「このエピソードなら記事ひとつ分掘り下げられそうだ」と思えたときにしよう。
さあ、もう記事を終えよう。
僕は執筆よりもやりたいことがあったのだ。
そう。十何周目かのトマアドを。
セーブポイントは最終決戦間際。武器の難易度をわざと上げて対戦に進もうと思うから、手に汗をかいてしまう。
クリアしたらどうしよう、何て思わない。だってまた一からやるつもりなのだから。
連打をしすぎて黒から薄灰色に変わったAボタンは、いつか真っ白になるのだろうか。
遠い未来かもしれないが、確実にその日は訪れるだろう。
トマトアドベンチャーは、そういうゲームだ。
*Wii Uにてトマアドのゲームが楽しめる!ダウンロードページこちら→【トマトアドベンチャー | Wii U | 任天堂】
*トマアド公式サイト→【https://www.nintendo.co.jp/n08/aglj/index.html】
おまけ、知人の弁当(掲載許可済み)。
ヘタつきトマト……と見せかけて、頭部に塩昆布をぶちこまれたトマトです。